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宝塚歌劇団いじめ問題でおさえておきたい伝統と歴史の裏に隠された真相

エンタメ

女性だけのミュージカル劇団として1914年に阪急電鉄創業者の小林一三が創設した兵庫県宝塚市に本拠地をおく宝塚歌劇団。「清く 正しく 美しく」をモットーに2024年には110周年を迎える伝統と歴史あるミュージカル劇団です。日本独自のエンターテイメントで国内のみならず海外でも人気があり、「ベルサイユのばら」や「ファントム」「スカーレットピンパーネル」「エリザベート」など海外ミュージカルものも含めて誰もが一度は耳にしたことがある有名作品も多く、また天海祐希や大地真央、黒木瞳、真矢みきなど数多くのトップスターを輩出してきました。

「タカラジェンヌ」は宝塚歌劇団の団員に対する愛称です。 

宝塚歌劇団の組構成

出典:https://www.city.takarazuka.hyogo.jp/

宝塚歌劇団は、花組・月組・雪組・星組・宙(そら)組の5つの組と専科で構成されています。組ごとに、その顔となるトップスターとトップ娘役を中心に組のカラーにあった演目を公演します。

たとえば花組は、宝塚歌劇団のなかで最初に結成された組で、歴史も長く宝塚の中でもシンボル的な組です。圧倒的な華やかさと男らしさが魅力の組でダンスを得意としています。

月組は花組とともに結成されており、演技力に定評のある組です。月組出身のトップスターも多く、大地真央、涼風真世、天海祐希、真琴つばさ、紫吹淳などテレビやミュージカルなどで今も大変活躍している方が多いです。

雪組は、その後1924年に結成された組です。こちらも演技力に定評のある組で、特に和物に強く着物をきたときの所作も大変すばらしいです。新撰組などの時代もので男役スターがだんだら羽織で舞台にならぶさまは圧巻です。

星組は1933年に結成された組です。現代的なお芝居や、JPOPなどミュージカルファンではなくても耳馴染みのよい曲を使ったレビューも多く、ファン歴が浅い人でも親近感を持ちやすい組ではないでしょうか。ダンスに長けていてパワフルでキレのある動きも魅力です。体育会系の組とも言われていますね。

宙組は1998年と近年結成された組です。全体的に長身でスタイルの良いスターが多い組です。組としての歴史が一番浅いためか、上下関係の厳しいと言われているなかでも自由闊達な組とも言われていました。ただ昨今はこの宙組でのいじめが問題となっています。

そしてどの組にも属さず、各組のお芝居事に駆り出されるサポート的な役割の『専科』があります。各組でスター候補などいわゆる路線だった人たちが集められたベテラン組です。『老け役』や『敵役』など若い組子には出せない重厚感あるお芝居を担うことが多いのですが、最近では専科をトップにした講演も増えていて、専科自体の存在感も増しています。

各組には組ごとのイメージカラーがあり、花組は赤とピンク、月組は黄色、雪組は緑、星組は青、宙組は紫となってます。キャトルレーヴというグッズ販売されているショップに行くと、このイメージカラーに合わせた各組のグッズもたくさん売られています。

宝塚音楽学校生の不文律のルール

とても厳しく細かいルールが数多くあることでも有名ですね。「阪急電車が通る際に電車に向かって一礼する」など、はたからみるとそんなことをして何の意味があるの?というようなことまで。

そもそも宝塚音楽学校とは何かというと、宝塚歌劇団に入るには、まず宝塚音楽学校に合格しなければなりません。倍率はその年によっても変わりますが15~25倍で、東大よりも入るのが難しいといわれています。確かに東大は毎年3000人が合格しますが、宝塚音楽学校は毎年わずか40人のみです。

受験生は皆さんスタイルもよく容姿端麗で、バレエやダンス、歌やピアノなど小さいころからレッスンしてきて自信のある人たちの集まりだと思いますが、それでも40人しか合格しないのは本当に本当に狭き門です。毎年3月から4月にかけてテレビ番組でも宝塚音楽学校受験者たちを追った特集が組まれていますが、皆さん本当に遊びもせずに一生懸命レッスンをしていて、音楽学校の受験にすべてをかけている様子がうかがえます。

出典 https://www.sankei.com/photo/story/news/180417/sty1804170003-n1.html

宝塚音楽学校は2年制となっていて、入学1年目を予科生、2年目を本科生といいます。一番厳しいのはこの予科生時代といわれていますが、本科生と予科生の1対1で上級生である本科生から生活態度などの指導がされ、少しでもルールを破ったり間違えると厳しく叱責されたり、反省文をかかされるといったことがあるそうで、この反省文を書くために深夜遅くや明け方近くまで寝れないといったこともあるようです。

電車に一礼する理由は、お世話になっている阪急や車掌に感謝の意味をこめて、などいくつかありますが、その一番は本科生が乗っているかもしれない電車だから、ということであり、いかに本科生と予科生の上下関係が強いかがわかります。なお、この電車に一礼する、という行動今は予科生の負担が大きいということもあり廃止されたそうです。

ほかにも「予科語」は本科生の返事は「はい」か「いいえ」のみ。本科生に対して言い訳含めた一切の説明ができない。「予科顔」は、「眉間にしわをよせて口角を下げる」というものです。予科生は基本的に笑顔を見せてはならず、真剣な顔でいなくてはならない、ということです。なお宝塚では10年に一度「大運動会」というものが開催されますが、このとき各組子たちは盛り上がったりはしゃいだり、真剣に競ったりと、喜怒哀楽を表現しているのに対し、音楽学校生は固く口を結ぶ、直角なお辞儀など全く違った空気になっています。

毎日徹底した掃除をすることも有名なエピソードで、毎朝1時間以上、1年間同じ場所を掃除します。雑巾の色から、拭く方向などすべての手順が決められていて、掃除は常に本科生にチェックされていて間違えるとやはり厳しい指導があるようです。

ヅカファンのルール

宝塚には公式ファンクラブと私設ファンクラブがあります。「宝塚友の会」という宝塚歌劇の公式ファンクラブに対して、劇団側は関与しないタカラジェンヌ個人ごとの私設ファンクラブ(FC)が存在します。スターと呼ばれる人たちにはマネージャーはついておらず、FCのクラブ員がマネージャーの業務を担当しています。

なお公式ファンクラブの「宝塚友の会」は宝塚歌劇の公式サイトから入会できます。年間で6000円ほどで、一般販売前の先行販売のチケットにも申し込めます。

私設ファンクラブの入会方法は、おおむね2パターン

①お目当てのスターにファンレターを出して入会希望の旨伝える。ファンクラブがあるスターはその後FCから入会についての連絡があるはずです。

②私設ファンクラブの人に直接入会希望を伝える(劇場前で観劇のチケットを配っている人、スターの名前ごとにグループになっている。もしくはお目当てのスターの入り待ち、出待ちしている人に声をかけて聞いてみる)

ファンクラブの人をどうやって見つけるかというと、公演前だとスターごとにFC会員にチケットを配布しているので、お目当てのスターの名前を探してみたらわかりやすいです。また入待ち出待ちのときは、ファンクラブごとにグループになっているので、そこでお目当てのグループを探してみる。通用口に近い位置取りをしている順=スター順ということが多いです。

入り待ちと出待ちはその名の通り、その日の公演前と公演後にタカラジェンヌたちが楽屋に入るところ、出るところを待つことです。

入待ちの様子 ファンは座って見送る。画像右がスター、左がお手伝い

ただ、①②の方法、どちらにしても「ちょっと興味があるから」と気軽に入るにはなかなかハードルが高いですよね。そしてFCには徹底したルールがあり、これがなかなか一般の人には理解しにくく「ヅカファンって、、」と言われることにもなります・・。なお会費については、入会金が500円、年会費は5000円ほどです。

さてここで一般の人たちからは分かりにくい私設ファンクラブのルールを一部紹介します。

・複数のスターのFCに入ることは禁止。ファンになるのも掛け持ちはNGで、「一人一推し」ではないといけないということですね。ただし入っていたスターが退団したらほかのFCに入るのはOK

・入待ち出待ちのときには、「会服」というお揃いの服やスカーフなどグッズを着用。

・入待ち出待ちのときには、スターごとに待つ場所がきまっていて、タカラジェンヌが通るときは、毎回座り、それ以外は立つ。これはなかなか体力がいりますね。「〇〇さんが通ります!」という声とともに、会員たちは一斉に座ります。

・写真は禁止。手紙は入待ち出待ちの場で渡すことができる。スターが順番に受け取っていってくれます。

・FC経由の観劇席は、当日までわからない。もしかしたら2階後方席で見えにくい場所、ということもあります。もちろん良い席を受け取れることもありますが、チケットを配る人のサジ加減ということはあり、その人達に気に入られる、ファンクラブ会員としての貢献度が高い(在籍歴だったり、観劇数だったり、チケットのさばきだったり、グッズ購入だったり、観劇しなくても入待ち出待ちをする回数だったり)などで、かなり閉ざされた世界のようには感じます。

入待ち出待ちをしていると、タカラジェンヌのうしろをたくさんの荷物を抱えながら付き従って歩く女性を目にすることがあると思います。これはファンクラブのなかでも「幹部」といわれ、ファンクラブカーストのトップにいる人が多いです。スターの身の回りのお世話するなどマネージャー的な役割をして。スターと身近に接することができて話す機会も増えるなど、ファン冥利に尽きるところではありますが、無償であること、公演期間中は拘束時間も多い、など大変なことも多いです。

宝塚歌劇団のスキャンダル

ファンクラブの話に続きますが、公式ファンクラブ、私設ファンクラブ、どちらの応援スタイルにも欠かせないのは資金です。特に私設ファンクラブでは、その貢献度によってカーストができあがっているので、大量のチケットやグッズ購入などでその地位を示す場合は、かなりの資金が必要です。

応援するスターのために証券会社の女性社員が4000万円もの会社の金を着服したり、労組・自治労の資金の一部が裏金としてタカラジェンヌに流れていた、といったこともあります。

ほかにも、男性ファンによる無理心中の事件や、美人局事件、96期のいじめ裁判や、昨今文春にも取りあげられた宙組のいじめ、演出家によるセクハラ、パワハラ問題など、110年の歴史のなかでは色々な事件が噴出しています。

宝塚歌劇団研究生96期のいじめ裁判

2008年に宝塚音楽学校96期生として入学した生徒が、いじめとコンビニでの万引きをしたとする虚偽の報告などで同年11月に退学処分受けたことに対して、宝塚音楽学校に対して損害賠償を求め神戸地裁に訴えたというものです。

元生徒のAさんは岩手県出身、身長も高く岩手県内の難関高校にも進学していた才色兼備で、宝塚音楽学校には高校1年時に受験、1度目で合格。岩手県からの音楽学校生は平成に入ってからははじめてということで、東北地方でも大きく盛り上がっていました。

96期生の中でも長身のスタイルと綺麗な顔立ちで、入学直後にあるサイトでは「予科正のなかで元生徒が一番きれいだ」という書き込みがあり、それからこの元生徒に対してのいじめや、洗濯物がゴミ箱に捨てられるといった事件がおこったそうです。入学後2ヶ月目では元生徒が寮の自室に戻ると、同期生が何人もいて、彼女のベッドの上に寮内で紛失したとされる複数の品が並べられていて、元生徒は窃盗を疑われたといいます。

その後元生徒が地元岩手の歌劇団OGの周忌法要に参列、地元テレビ局の取材を受けたことで、学校への許可なく取材をうけたこと、またその際の服装や髪型、また予科生は禁止されていた薄化粧をしていたなどの理由が校則違反となり、学校側にも反省文を提出することになりましたが、そこからいじめが加速し「実家に帰って出て来るな」「死ねばいいのに」など罵詈雑言を浴びせられるようになったり、些細な連絡ミスを理由に共有の洗濯機を使わせてもらえなくなったり、同期生のメーリングリストから彼女だけ外されたり、二人一組を作る際は彼女だけ外されたりするなど陰湿化していきました。

元生徒が本科生にいじめの相談をしたところ、予科生含めた全員が知ることとなり、いじめもエスカレート、また虚偽の万引きでは、元生徒が否定して「防犯カメラを見ればでっち上げはわかる」と訴えても学校側は取り合わないどころか、元生徒に対して「本当にやっていないなら弁明できるんじゃないの?」「見ているとイライラする」「学校指定の精神科に診てもらえ」など教員とも思えないことを元生徒に言ったとされています。

同期全員から無視やいじめを受け、上級生に相談したらさらにいじめがエスカレートし、さらに学校からは虚偽の申告によりきちんとした調査もないまま退学処分をうける。さらにいじめの主犯格は寮で彼女と同じ部屋になった優波慧さん(ゆうなみけい)言われていて2022年に退団となりましたが、それまではスター格として活躍してきており、劇団側もいじめた側を容認してきました。96期は娘役のトップを4人も出していて、96期生のいじめについてはなかったものとしようとしました。

裁判で明るみに出て各メディアが大きく取り上げて、宝塚歌劇団という組織がきちんと問題に向き合い体質改善するチャンスがあったにもかかわらず、劇団は隠ぺいしようとする体質が続き、いじめた側をを容認、擁護することを続けてきたことで、2023年10月にはついにいじめをきっかけとしたタカラジェンヌによる投身自殺という悲しい事件が起きてしまいました。

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