宝塚歌劇団員の自死についての劇団側の記者会見への波紋が広がっていますね。宙組のいじめが発端ですが、劇団側の「いじめはなし」との会見に各組のトップが激怒し、劇団側に改善を要求したという11月21日の文春記事。詳しくみていきます。
「いじめはなかった」とする記者会見
11月14日、有愛きい自死についての弁護士調査の結果報告で、木場理事長は「故人に対するいじめやハラスメントは確認できなかったとされており、例えば『嘘つき野郎』『やる気がない』といった発言の有無については、全て伝聞情報であり、実際にそのような発言があったことは確認されておりません」との結論を発表しました。
それに対して遺族側代理人弁護士の川人博氏は「上級生のパワハラ行為を認定しないのは、一時代前の、二時代前と言ってもいいかもしれません。事実関係を再度、検証し直すべき」として再度争う姿勢を見せていて、運営する阪急側が近く調査委員会を立ち上げ、再調査する方針を固めています。
宙組トップスター芹香斗亜さん、組長松風輝さん事件後の呆れる発言
有愛きいさん自死については、芹香斗亜さんや組長の松風輝(まつかぜあきら)さんのパワハラが原因の一つでもあるにもかかわらず、芹香斗亜さんは「こんなことで公演を止めるなんておかしい。なんで私が下級生から嫌われてるのか、分からへん」と発言しています。
そして、弁護士の調査結果について、木場理事長は記者発表前に宙組生約60人を集め「パワハラは認められませんでした」と話したといいます。そして次の瞬間に「公演はいつ再開するんですか」という弾んだ声で質問したのが松風輝さんで、芹香斗亜さんも笑顔をみせたといいます。
それをみた宙組生は、調査チームに訴えてきたパワハラもイジメも一切認定されず絶望的な気持ちになったといいます。
宙組生、保護者の声
「劇団の会見はウソばかりでした。どうすれば私たちの声は劇団に届くのか。どうすれば隠蔽されず事実が伝わるのか。ずっとずっと考えています。劇団の在り方に、皆が心身共に崩れていっています」
出典 週刊文春2023/11/21
「私は宝塚音楽学校に入学後、きいちゃんとひとつ屋根の下で辛いこと、苦しいことをたくさん経験してきました。劇団は、まったく意味のないシゴキを美談にしている異常な世界です。劇団に入ると、みんな洗脳されていく。悲劇をこれ以上繰り返さないために、劇団は根っこから変わらなければいけない」
出典 週刊文春2023/11/15
「現在の宙組のプロデューサーである長妻慶樹氏は、芹香さんと松風さんが有愛さんを罵倒している現場に何度も居合わせています。ところが、彼はいつも何事もなかったかのように教室を去っていく。彼は私たちを前にして『新人公演なんてやる意味あるのかよ』と笑いながら暴言を吐いたこともあります」
出典 週刊文春2023/11/21
宙組トップスター芹香斗亜(せりかとあ)の“恐怖支配”については、タカラジェンヌの保護者も下のように話していたといいます。
「S(芹香斗亜)さんは日常的に下級生に対して高圧的なもの言いで指示を出し、さらに“うそつき”などと暴言を吐くとも聞いています。普段から“パワハラ”と受け取られるような言動をしていたのは間違いありません」
出典 「週刊新潮」2023年11月23日号
芹香斗亜さんと松風輝さんのこれまでの暴言と罵倒
「何であんたが泣いてんの!」と有愛きいにつめよる芹香斗亜
ヘアアイロン事件が文春に取り上げられたことをうけて、宙組内で「お話会」が実施され、そこで天彩峰里(あまいろみねり)さんによる有愛きいさんのヘアアイロンでのやけどは、わざとではなかった、とされその場で発言の機会のなかった有愛きいさんは、廊下で泣き崩れ過呼吸になっているときに芹香斗亜さんに「なんであんたがないてんの!」とつめよられた。
「あんたら、いる意味ない。いてもいなくても一緒!」とヒステリックに吊るし上げる芹香斗亜さんと松風輝さんの「マインドがないのか!」という罵倒
下級生のみが自主稽古をしている教室に、芹香斗亜さんと松風輝さんが入ってきて、有愛さんを含めて約二十人の下級生の行動を監視。2人でコソコソ話していた稽古終了後、下級生が2人から罵声を浴びせられ、“玉突き連続謝罪”をさせられ、その後は、水分も取らせてもらえないまま深夜まで踊ることを強いられた。
「文春なんてどうでもいいから言いたいことを言わせてもらう!」と有愛きいを怒鳴る芹香斗亜
通し稽古の最中、幹部部屋で芹香さんが有愛さんを怒鳴りつけそこに加わったのが有愛きいさんより6期上の花菱(はなびし)りずさん。
「3期上の優希(ゆうき)しおんさんと一緒に有愛さんを囲み、怒鳴りつけていました。花菱さんは『私に対して、着替えのお手伝いをさせてくださいって、なんで言いに来ないの。ねえ、なんで、なんで!』と繰り返し罵倒。花菱さんが去った後、優希さんは『嘘つき野郎!』と吐き捨てていました」
暴言や罵倒はなかったとする劇団
下級生たちも目撃している数々の出来事や、罵詈雑言ですが、調査報告書に反映されることはなく、下級生たちの多くは、調査チームが導き出した次の一文を目にし、呆然としたといいます。
劇団側の見解
「大声や人格否定等を伴うものでもないから、社会通念に照らして許容される範囲を超え、相当性を欠くものとは言えない」
雪組トップスター彩風咲奈、花組トップスター柚香光、星組トップスター礼真琴の直談判
記者会見2日後の11月16日に木場理事長に深夜まで直談判したのが、芹香斗亜と同期の93期生雪組トップスター・彩風咲奈(あやかぜさきな)さん、2期下95期の花組トップスター・柚香光(ゆずかれい)さん、おなじく95期の星組トップスター・礼真琴(れいまこと)さんで、彩風咲奈さんは語気を強めながら、「一度全ての公演を止めて、劇団が1つになって同じ温度で同じ方向を向くべきじゃないですか」といったといいます。
それにも関わらず、その翌日、劇団は11月25日から東京宝塚劇場で予定していた宙組公演「PAGAD(パガド)」を12月14日まで中止すると発表しました。全公演の中止ではなく、日程半分の12月14日まで、というところが、ここまできてもなお劇団の認識の甘さや、問題の重さの自覚のなさを感じます。
彩風咲奈さんは雪組の生徒たち前に、
「トップが集まって話し合ったのに、劇団はいつまでも変わらない。暖簾に腕押しじゃないか」
と落胆の言葉を漏らしたとのことです。
「彩風は責任感が強く、一貫して生徒たちの心身のケアの重要性を訴えてきた。10月16日夜にも木場氏と向き合い、『もっと休養時間を確保しないと私はもうやりません』と主張していました」(劇団関係者)
出典 週刊文春2023/11/21
なお、トップ3人の直談判を知った芹香斗亜さんは、「彩風は同期なのに酷い」と憤っていたそうです。芹香斗亜さん自身の問題の大きさへの自覚がないことにも驚きますね。
なお、月組トップスターの月城かなとさんは、東京公演中で今回の直談判には参加できなかったようです。
村上新理事長「会見では言いませんでしたが、いじめはあったのでしょう」
16日、彩風咲奈さんが『このままではお客様の前に立てません』と切り出し、あわせて「指導」と称した従来のパワハラ的慣習を廃止するよう求め、雪組男役2番手の朝美絢(あさみじゅん)さんもこれに呼応、ほかの生徒も「ご遺族に誠意を示してほしい」などと口々に訴えたといいます。
そんななか、村上新理事長が「法的にはパワハラに該当しませんが、いじめはあったのでしょう。一昨日の会見では言いませんでしたけど」と口を開いたそうです。
会見で認めなかった理由については、
「皆さんは歌劇団にいる限り、誰もが被害者であり、また加害者にもなり得る」とのことで、「今回の件を認めれば、これまで起きていた全てを認めることになる。宙組の上級生だけでなく、生徒全員を守るための判断だった」といったそうです。
認めることに何の問題があるのか、投身自殺という悲しい事件を通して、これからは劇団がいい方向に舵切りすることを期待していたにもかかわらず、この新理事長の発言は、劇団員にとっても落胆も大きかったと思います。